発展する決済代行への期待
特に外部負債のない企業について考えるとすれば、株式の時価総額はそのまま企業価値だといってよさそうなのですが、そうだとすると前で説明した配当割引現在価値モデルと営業利益割引現在価値モデルとの間にどのような関係があるのかについて説明を求めたくなるからです。
そこで次には、このような疑問について具体例を交えながら答えていくことにしましょう。
キャッシュフローアプローチ。
まず、私たちがなぜ営業利益割引現在価値モデルに対して簡単に納得できないのかを整理してみましょう。
その理由は、企業会計上の利益あるいは営業利益と、企業に実際に生じる資金の流れや、株式を保有している株主が受け取ることができる資金の流れとの間に違いがあるからです。
こうした差が生じるのは、減価償却と配当および役員賞与、それに税金のせいですが、私たちは外部負債のない企業については、企業に実際に生じる資金の流れの現在価値と、株主が受け取ることのできる資金の流れ、つまり配当の現在価値とは等しいということまでは確かめてあります。
ですから、ここでは企業会計上の営業利益と企業に実際に生じる資金の流れとの差について考えることになります。
一般に、企業の会計上の利益、つまり企業活動から上がる期間帰属利益から企業価値を計算しようとする立場を「利益アプローチ」といい、企業に実際に発生する資金の流れを重視する立場を「キャッシュフローアプローチ」といいますので、これから考えようとすることは、この二つのアプローチの差とは何かについて考えることにほかなりません。
例としてとり上げるのは、資本設備の要らないサンドイッチ屋ではなく、設備投資が必要な会社、例えば、パン焼き釜が必要なパン屋だとしましょう。
このパン屋の上げる粗利益(売上と原価の差)は毎年一五○万円だが、利益を上げるのに必要な設備すなわち、パン焼き釜の値段は二五○万円で耐用年数は五年間とします。
ここで、パン焼き釜の耐用が五年ということの意味は、買ってから五年間は完全に作動するが、ちょうど五年後に壊れて使えなくなるということだとします。
単純化のために減価償却費以外の一般管理費はないものとし、また税金や役員賞与は無視しましょう。
こうすれば、利益アプローチとキャッシュフローアプローチの差は減価償却費と配当の差だけとなります。
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